サービスの対価について

1年以上更新してなかったので、リハビリを兼ねてTwitterで見つけた気になるツイートからいろいろと書いてみる。

ユーザーのため=無料?

最近、ありがたいことにwebサービスの開発段階でお声をかけて頂き、サービスのいろんな初期設定を考える機会を頂いているのだけど、その中でも価格の設定は本当に難しい。 サービスの開始前は、本当にユーザーが利用してくれるのか不安になることもあって、できるだけ「ユーザーにサービスを無料で提供できないか」を模索していることが多々ある。

で、そういった時にいつも話すのは「ユーザーに無料でサービスを提供しても、いいことはあまりないですよ」ということ。

TwitterやInstagramのような「対象ユーザーは地球人全員!」みたいなSNSサービスは、無料でもユーザー数が増えればその分の広告収入が増加する。 メルカリやairbnbみたいなCtoCサービスは、サービス上でのユーザー同士のお金のやり取りが増えればそれに比例して手数料収入が増加する。 そんな感じで無料戦略がちゃんと収益と繋がっていればよいのだけど、BtoBだったり特定の業界向けサービスの場合は(ユーザー数が限られるため)上記のようなユーザー数に依存する戦略は相性が良くないんだよね。

また、無料でサービスを提供することを「会社広告」と位置づけるのも結構つらくて、サービスは広告と違って運用やメンテナンスが必要であり、サービス運用の質が低ければユーザーへの印象は逆に悪化してしまう。広告を狙うなら純粋に広告を製作する方が正しい。 途中でサービスを中止する場合はなおさら問題で、中止するまで利用してくれていた数少ないユーザー(=会社のコアなファン)に対してネガティブな印象を与えてしまうことになりかねない。

じゃーどう考えればいいの?って話になるのだけど、これは「ユーザーに無料でサービスを提供する」=「ユーザーが幾らでサービスを利用するか」というユーザー主体の考え方とは逆の発想をする必要があると思う。 逆とは「サービスを提供するためにユーザーからお金をもらう」=「サービスの運営に必要な金額を稼ぐための価格設定をする」

価格設定を決めるのが大事な理由は、そこから事業の見通しを立てられるから。 運営に月100万円必要だと決めれば、そこから先は「月100円×1万人」にするのか「月1万円×100人」といったサービスの質の話や、予算と相談して売上目標達成までの期日を決める話など、具体的な話を進めることができる。 売上という具体的な目標を定めることで、それに向けてサービスのPDCAサイクルを回せるようになる。 極端なことを言えば、期日までに売上目標を達成できなければサービスをやめれば良い。

「ユーザーは幾らでサービスを利用するか」というユーザーを主体とする考え方は一見ユーザーのことを第一に考えてそうに思えるけど、実は存在しない「ユーザー」に責任転嫁し自分たちがサービスと向き合うことを遠ざけてしまう考え方なんじゃないかと思う。 「このサービスには月◯◯◯円の価値があります」と決めてその価格に見合うようにサービスを改善していく方が(少なくとも特定の業界向けサービスの場合は)うまくいく気がする。

子ども食堂の話とはだいぶ違うところに着地したけど、まぁそんなとこで。

ツイート主の森哲平さんについて

森哲平さんという徳島で子ども食堂をやってらっしゃる方のツイートなんだけど、これ以外も興味深いツイートをされているので興味のある方はぜひ。

森哲平さんのnoteはこちら。

note.mu