昨日、市場問題PTの小島私案の資料の誤りについて指摘したところ、たくさんの方に読んで頂けたようです。ありがとうございます。
しかし市場問題PTは「報告書に豊洲移転案と築地改修案の両論を併記する」と豪語してるみたいですね…。
「豊洲移転は1兆円の赤字!」とか騒ぐ前に、自分たちの資料をちゃんと見直して頂き、無駄に支払われた都税は返して頂きたいと思います。
(築地再整備案の実現性を疑問視している一部の委員の方は、本当にお辛い立場かと思いますががんばって頂きたいです)
さて、昨日に引き続き小島私案にダメ出しをしていきたいと思います。
3000文字と長いですが、本日もよろしくお願いします。
豊洲市場の赤字は年140億円?
昨日は豊洲移転案の資料を見ましたが、今日は築地改修案の資料を見てみましょう。
全部で63ページもある大作ですが、こちらも掲載されている数字の根拠がいまいちよく分かりません。特に豊洲市場の数値は説明すらないという状況です。
ここでは、豊洲移転案と築地改修案を比較したページを取り上げます。
[2017年4月8日]東京都専門委員による説明と意見交換配布資料:築地改修案(P53)
はっきりと「年度ごとの赤字額は…築地改修の場合▲20億円/年、豊洲移転の場合▲140億円/年」と書いてありますね。
豊洲の年間収支
築地市場、豊洲市場の年あたりの収支は、小島私案の豊洲移転案P9,10に掲載されています。
↑このデータは昨日も登場した第5回市場問題プロジェクトチーム配布資料:(資料3)中央卸売市場提出資料(豊洲市場の事業継続性)(PDF:1.3MB)のP14,15↓に掲載されています。
こちらの中央卸売市場のデータでは築地と豊洲の高さが合っていないですが、市場問題PTは引用したグラフの比率を変えてちゃんと高さを合わせて比較しているのが分かります。
(本当は資料全体でやって欲しいことなのですが)
豊洲市場の修繕費の積立
また、年間の収支とは別に修繕費も検討する必要があります。
「15年で200億円」と記載されているので、年14億円と仮定しましょう。
この時点で、豊洲市場の年間収支をグラフにするとこのようになるかと思います。
修繕費も見込んだ豊洲市場の年間の赤字額は約41億円という概算ですね。
小島私案に記載されている「年間140億円」とは100億円もヒラキがあります。
既に建設済みの豊洲市場とこれからの築地改修
豊洲移転と築地改修を比較する場合は、次の違いを考える必要があります。
- 豊洲市場は建設済みで財源を確保済み
- 築地改修は新規事業で財源は未定
小島私案によれば、本来豊洲市場の財源として見込んでいた築地市場跡地の売却益は、豊洲市場の土地売却益で補えるとの考えのようです。
これを図にしてみましょう。
(余談ですが、土地売却を想定した場合は解体費も含めて売却益を計算するので、本来は解体費は出てこないんじゃないかと思います)
移転延期のための補償費も想定して記載しましたが、築地改修の場合、豊洲市場の土地を4370億円で売却できたとしても、築地市場の再整備費は捻出できていないことが分かります。
(4370億円で売却という仮定もかなり大袈裟だと思いますが、小島座長は説明会で「3年でも5年でも、高値で売れるまで待てば良い」と仰っていました。)
築地改修費を見込んだ比較
財源がないということは、企業債を発行するにしても何にしても年間の建設改良費として計上しなければならないということになります。
それを踏まえて豊洲移転と築地改修案の年間コストを比較してみましょう。
建設費800億円、工期7年と仮定するなら、築地改修にかかる年間コストは114億円になります。
このデータのポイントは「豊洲移転を取りやめ築地改修を行うと仮定した場合、改修工事が完了するまでは豊洲移転より赤字額が大きくなる」ということです。
財源がないまま7年間で800億円の赤字を出すことになるので「実質的税金投入」ということになります。これが小島座長の推薦する築地改修案です。
(ちなみに、「築地改修後は売上も上り大きく黒字になるからだいじょうぶ」みたいな主張をされる方もいるかもしれませんが、そんな仮定の上の仮定を考えるなら「豊洲市場の売上を上げ赤字を減らす」をまじめに検討する方が個人的には有用だと思います。社会のリソースは限られているので。そのための専門委員会じゃなかったんですかね…)
正確な計算と読み手に伝わる資料を作成できない市場問題PTの報告書は必要なのか
前回も書きましたが、資料の中で使用する数値はちゃんと根拠が分かるようにしておきましょう。
豊洲市場が年140億円の赤字という数字に根拠がないとしたら、公文書の偽造になったりしないんですかね。都のHPで発表しちゃってますけど、本当にだいじょうぶなんですかね。
明日26日にも市場問題PT会議が予定されているそうですが、再びこんな内容の資料が出てこないことを祈ります。
あと、マスコミは発表された資料を右から左に報道しない方がよいと思います。ちゃんと根拠をあたりましょう。
それでは今回はこの辺で。