クロスブックレビュー:建築と都市─1970年、1995年という転換点を超えて」

10+1 web siteより 「対談:難波和彦(建築家)×藤村龍至(建築家)
クロスブックレビュー:建築と都市─1970年、1995年という転換点を超えて」


 このエントリーを読んでくださっているみなさんがどう考えているがわかりませんが、僕の中では、建築家には必ずその設計思想に影響を与えた人がいて、それらが複雑に絡み合いながら歴史の流れのようなものを作っているという印象があります。この二人の対談は、そのような視点で見ると「東大:池辺陽」と「東工大:清家清」という大きな流れの中に位置づくのかな、と。もちろん細かく見てしまえば違うのですけど。
 対談中で印象的だったのは、難波氏が「つまり時代がぐるっとひと回りしたような印象」と語ったことです。実は僕が60年代の新建築をコピーして集めて、ここに断片的に情報を載せているのも藤村氏に影響されているところがあります。それは建築の問題を社会の問題として取り組もうとしていた60年代の熱気みたいなものを感じたいという意味でですが。
 しかし一方で、難波氏が「都市をコントロールできない、与条件と言うか背景のようなものとしてとらえている」と述べている点などから、都市に対峙する建築家の姿勢は60年代と現代では真逆だというのも共感できます。この対談ではここから「工学」へと話がシフトしていくのですが、個人的には、この都市に対する態度から「Love Architecture」「恋する建築」という本が生まれてきているのだと思ってもいます。(この辺の考えは別エントリにまとめる予定)
 『建築雑誌』2009年6月号にこの対談が詳しく掲載される予定だそうなので、読んでみたいと思います。
P.S.ちなみに、「東大:池辺陽」と「東工大:清家清」の関係は、近いところだと「sk0008」内の清家清氏と篠原一男氏の対談の中で少し述べられていたと思います。

1995年以後~次世代建築家の語る建築建築の四層構造――サステイナブル・デザインをめぐる思考 (10+1series)恋する建築LOVE ARCHITECTURE