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「豊洲市場は赤字!」を強調するカラクリ(その1):ニュースタイトルには気をつけよう

世の中には「豊洲市場は無駄にお金がかかる」というイメージを植え付けたい方がたくさんいらっしゃるのか、「豊洲市場の整備費に約6000億円!」とか「豊洲市場は毎年約100億円の赤字!」というニュースを見かけます。

www.asahi.com

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別々のニュースのために気づきにくいですが、この6000億円と100億円の中では同じ費用を重複していますので注意しましょう。

以下、ちょっとした解説。

減価償却費という考え方

簡単に書くと、「手持ちの現金の動き」と「保有する建物や設備の価値の動き」は異なるという考え方ですね。

例えば、平成31年に50億円の建築改良費を15年の減価償却期間で支出した場合は、次の図のようになります。

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  • 手持ちの現金で50億円を支払い建物を改良する。
  • 改良された建物は15年間、毎年約3.3億円ずつ価値が下がっている。

これ、気をつけて欲しいのは「現金で50億円支払う」と「建物の価値を15年かけて50億円を償却する」というのは同じ50億円の話で、100億円損してるというわけではない、ということです。
キャッシュフロー(使えるお金の動き)で考えれば1年で50億円の支出。損益計算書では減価償却費として毎年3.3億円が15年間支払われ続ける。同じお金の使い方を違う解釈で表しているんですね。

重複して数えられる減価償却費

これと全く同じことが、冒頭の「豊洲市場の整備費に約6000億円!」と「豊洲市場は毎年約100億円の赤字!」のニュースに関係します。

図にするとこちら。

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実は朝日新聞の記事内では、このことは一応記されています。

減価償却費は実際の支出を伴わないため、これを除いた場合の赤字額は年27億円となるという。

しかし、豊洲の整備費は築地市場の売却益など既に予算が想定されているので、減価償却費に使用される予算は赤字と言わないと思うんですよね。
最初から「豊洲移転で年27億円赤字」とタイトルを書いて頂きたいものです。

※1:ファイナンシャルプランナーの中嶋よしふみ氏がこちらで解説しています。

news.yahoo.co.jp

※2:数字の出展は「第5回市場問題プロジェクトチーム配布資料:(資料3)中央卸売市場提出資料(豊洲市場の事業継続性)(PDF:1.3MB)」や「東京都専門委員による説明と意見交換配布資料:豊洲移転案(PDF:2.2MB)」ですが、豊市市場の整備費については5884億円を6000億円に、減価償却対象費の3050億円を3000億円に置き換えています。