武雄市図書館などで問題を多発しているCCCがAirbnbと提携して“日本流のホームシェアリング”というライフスタイルの提案に関してパートナーシップ契約を締結したらしい。
いろいろと心配になりますが、そもそもAirbnbはユーザーへのケアをしっかりと行っているのでしょうか?
AirbnbとCCC、“日本流のホームシェアリング”というライフスタイルの提案に関してパートナーシップ契約を締結|Airbnb Japan株式会社のプレスリリース
個人的にAirbnbは好きなサービスです。
理由の一つに景観の保護を挙げたいと思います。ホテルって結構観光地の景観を壊すんですよね。観光客向けに大きな建物を新しく建てる必要がない、というのは、景観保護の視点から考えると非常に意義のあるサービスだと思います。
そんなことを考えたこともあって応援したいサービスなのですが、Airbnbが部屋を貸すホストユーザー、借りるゲストユーザー、また利用される部屋の周辺住民に対してどこまで配慮しているのかというのは考える必要があるかと思います。
Airbnbのようなプラットフォーム・サービスでは、ゲストに対するサービスの責任をホストユーザーの責任に勘違いさせるようなことが多々あります。利用するユーザーもこの部分の線引を意識した上でサービスを利用しましょう。
Airbnbの安全・安心対応
Airbnbは2008年創業で、既に世界中で成功しているサービスだけあり、ホストユーザーへのケアをしっかりと整えています。
- 24時間、365日の電話サポート。
- Airbnbが間に入ることで利用料のやり取りを保証。
- 最大で1億円までホストを補償する保険サービスが無料で付帯。
- 煙・一酸化炭素検知器の配布。
- ユーザーへの法令遵守の啓発。
ここによくまとまっていますので、興味がある人はどうぞ。
どんなにケアをしても社会全体に影響が出ることは避けられない?
Airbnbがユーザーへのサポートを強くしても、「ネットで部屋を貸し出せる」という利便性が社会へ強く影響を与えてしまいます。
民泊の不都合な真実。フランス宿泊業界関係者が緊急来日で悲痛な訴え | ハーバービジネスオンライン
この記事には多くの問題が取り上げられています。
- パリではホテル業者が廃業に追い込まれている。
- 高所得者がAirbnbで貸し出すためにパリ市内の物件を手に入れるため家賃相場が値上がりし、市内で暮らす人たちの生活に影響を与えてしまっている。
- Airbnbを匿名で利用する人が多いため、行政が税金を徴収できない状態になっている。
- テロリストの潜伏先になった。
- 性的暴行・盗難・火災・売春・薬物使用・騒音など問題の温床になっている。
ホストユーザーへのケアは厚くなってきていますが、まだまだ付近住民や行政へのケアは難しいようです。この辺りは「あちらを立てればこちらが立たず」という状況を生みやすいため、まだまだ解決が遠そうな感じです。
CCCとの連携はどちらに転ぶのか
多くの問題を抱えつつも、Airbnbという会社自体は課題解決のためにいろいろとできることを模索しているような印象を持ちます。実態はともかく、そういった良い印象を与えられるように努力している、とでも言いましょうか。
しかし、ここで武雄市図書館などで数々の問題を起こしてきたCCCと連携するという選択が、どちらに転ぶのかはいまいちよく分かりません。
少なくとも、サービスの問題の責任をホストユーザーに押し付けプラットフォーマーとしての利益を吸い上げるだけの会社にならないように、注視し続ける必要があるように思いました。
追記
記事を書いた直後にこんなツイートを見つけたので追記。
Airbnbの宿で父親が事故死したライター、シェアリングエコノミーに問題提起 https://t.co/ttl1L9JlbW:民泊の安全基準を定め、依頼を受けて監査し、認定する商売ができれば良いし、AirBnBはその認証章を掲示するスペースを作れば良いのでは。
— 藤若亜子 (@akof) 2016年5月28日
同氏は2年前の感謝祭にAirbnbでレンタルしたテキサス州のコテージに家族で宿泊した。父親が庭のロープに腰掛けたところ枝が折れて彼の頭を直撃し、亡くなったという
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Airbnbのホストの責任ページには安全についてホストが守るべき事項がまとめられているが、ホストがこれらの事項を守っているかどうかをAirbnbが定期的に調査するといったことはしていない。
結局、事業者側が幾らサービス内でルールを設けても、ホストユーザーが対応しなければ安全に利用などできないんですよね。それも踏まえてどこまで事業者側が介入していくべきなのか、その辺りは今後もっとより厳密に社会制度としてルール化されていくでしょう。事業者の人はその辺りのことを頭の中に入れておいて欲しいと願います。
以前、Facebookで「アッテはユーザー間のトラブルについて全く考慮されてないサービス」という主旨のことを書いた時に、「ユーザー間のトラブルがなんで事業者の責任なのか全然わからない」とコメントを書いてきたIT企業の経営者がいたのですが、こういった事例を見ても彼はプラットフォーマーに責任がないと思うのでしょうか。
この投稿について、Airbnbは米TechCrunchなどに対し「これらの事故について知って大変ショックを受け、悲しく思う。われわれは亡くなったゲストとその家族について考え続ける。われわれにとって安全性より重要なものはない。(中略)今後もすべての人々にとってより安全なコミュニティーを構築するために可能な限り努力していく」という声明文を送った。
事故を未然に防げなかったことは大変残念で仕方がありませんが、少なくともAirbnbは会社として正しい声明を出したと思うので、その点だけは良かったと思います。
参考サイト
Airbnbに代表される民泊は法的にかなりグレーな部分が多いのですが、その辺り細かい話はこちらのサイトにしっかりとまとまっているので参考にしてください。
民泊の教科書 | 民泊の始め方、申請方法など民泊に関することを全てご説明します!
最初は建築基準法周りで民泊関連の話を書こうと思いましたが、そのあたりもしっかりとカバーされてました。素晴らしいですね。