Dezeenに掲載されているコールハースへの簡単なインタビューを意訳しました。
ビエンナーレでの経験
ヴェネチア・ビエンナーレで建築部材の歴史を展示した「Elements exhibition」を企画した時に、いくつかのデジタル技術に触れる機会があったが、個人の趣向を知ることはあまり良いことを招かないんじゃないかと個人的に思った。
(例えばこんな感じの技術)
- Movie: Carlo Ratti on Local Warming personalised heating system
- August Smart Lock by Yves Behar and Jason Johnson
- DoorBot wireless doorbell by Edison Junior Design Laboratory
自分たちの世代は「プライバシーを守れ!」と声をあげて活動していた世代だと思うが、今の人々がここまで熱心に自分のプライバシーを明け渡そうとしているのには、本当に驚きだ。確かに全くプライバシーのない世界が実現すれば、それはそれで幸せかも知れないが。
スマートホームに潜む悪意を見くびるな
デジタル技術は今世紀を通してますます建築家のあり方を変えていくだろうが、しかし、目先の利益に目が眩んでそこに潜む危険を見落としている。
3Dプリンターを例に挙げれば分かるように、建築家はデジタル技術を自分たちの担う領域を広げてくれるものとして簡単に考えている。しかしそれが実現するまで、多くのビジネスは建築を新しい技術の受け皿として考えるだろう。
あなたが知らないところで家のあらゆる場所にセンサーが取り付けられ、あなたがいつ帰って来るのかを誰かが知ることになる。それこそがデジタル技術に潜む悪意の現れだろう。
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コールハースが日本で先日行われたトークショーで「alert」を連呼してたのが印象的でしたが、「建築家」のこれからの役割をITとの関係の中で考えると「警告を出すこと」だと言える気がします。以前, 「ベビーシッター事件」に見る、アーキテクチャの問題の現在 ー要約ー - architecture_databaseという記事を書いたのですが、ますますビジネスとして加速していくIT業界において警告を出す役割としてInformation Architectが位置づいて欲しいと思います。