第1回のレクチャーはこちら→「石川初「地図と地上へのまなざし」レクチャー@genron-cafeの自分のツイートまとめ - architecture_database」
第2回!石川初さんのレクチャー@ゲンロンカフェ
今日も石川初さんのレクチャーを聞いて来ました。全3回の2回目になります。今回もtwitter実況する人が集まったため、レクチャーを多面的に見返すことができるようになるでしょう!誰か全体をまとめてくれるのでしょうか!?
レクチャーの感想
前回のレクチャーが、昔から利用されてきた地図というフォーマットと人の行動などのデジタル記録という、新旧のモノを組み合わせた時の発見を中心にお話を聞いたのに対して、レクチャー2回目の今回では「地形」を語り口にいろいろ面白い話を伺えました。
(画像はこちらよりお借りしました)
5mメッシュ(左)と50mメッシュ(右)との比較(皇居周辺)
これは、国土地理院より最近無料で配布されている、航空レーザ測量をベースにした地形図データを元に、カシミール3Dなどの地形描画ソフトで地形を可視化した画像です。従来の測定方法と比較して、5mメッシュの地形図が格段に細かいことが伝わると思います。
元データはこちら↓
国土地理院「高精度な数値標高データの公開について」
ここまで具体的なデジタルデータを見ることができると、これまで漠然と捉えていた地図の緑から茶色のグラデーションよりも、地形を身近に感じることができます。そして、世界への実感を伴った人間の認識と、数値データが提示する世界のギャップがあることがよく分かりました。例えば、講義でゲンロンカフェの高さは熊谷駅の標高と同じくらいであると言われると、最初は何のことかわからないくらい、自分の居場所と熊谷という場所に乖離を感じるわけです。視覚情報や身体で把握できる感覚と頭で処理できる情報のギャップの大きさに驚きます。
五反田のゲンロンカフェから熊谷まで。電車で1時間40分程度。
また、地形を通して「時間」へと思考を展開できるのも面白い点だと思います。
例えば、100年も続かなかった奈良の平城京の跡地は、水田としてその碁盤目の形を引き継いでいるそうです。こういった時代を超えた思考を行えるのも、地図というメタ・フォーマットの力なのだと思います。
参考:石川初さんのブログより
普通の人は視覚や身体で得た情報を経験と結びつけてしまいがちですが、石川初さんの話の面白さは、それを地図のように俯瞰した立ち位置と相互に関係付けて、発見を見出だせるところです。そしてデジタルデータの種類や精度が増大する昨今だからこそ、より石川さんの発見していく姿勢が私達により面白く感じられるのでしょうね。ビッグデータとデータマイニング。
ちなみに、最近読んだ「一七世紀科学革命」(AA)という本にて、天体望遠鏡と顕微鏡が、万有引力や地動説といった科学の発展に与えた役割についての記述がありました。数値としての観測範囲の拡大が人類の認識に与える影響は、歴史の中で繰り返されているのでしょうねぇ。
次回の石川さんの授業は7月13日(土)に予定されています。興味が湧いた人は、ぜひゲンロンカフェまでレクチャーを聞きに来てはいかがでしょうか。
twitterの自分の実況のまとめ
レクチャーのハッシュタグはこちら→ #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
石川初さんのゲンロンカフェレクチャー2回目始まりました!タイトルは「近いと地形図を例に」 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
大学の設計演習の紹介。課題「地形の顕在化」地形が顕在化している箇所をキャンパス周辺に見出し、その背後の事情と共に語る。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
建築学科の課題のため、予め地形について議論。身体が認知する事象として地面の凹凸、傾斜、坂、階段、斜面など。川、谷、尾根、山、丘、平地、扇状地、台地などは「地形」と呼ばれる事象。
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
言葉を変えれば、地形をどのように感じられるのかと、何を地形と呼ぶのかに分けられるということである。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
建築学科の課題のため、予め地形について議論。身体が認知する事象として地面の凹凸、傾斜、坂、階段、斜面など。川、谷、尾根、山、丘、平地、扇状地、台地などは「地形」と呼ばれる事象。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
これらは事象のスケールが異なる。地形の認知には二重性があるといえる。地形が現れる例として階段の風景。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
地形的現象:地形を記述する様式として「地形図」を使う。地形図と目の前の階段の風景には、乖離がある。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
地形の顕在化にはスケールがある。シャッターが閉じきら無い斜めの床、階段が続いていく路地。動きも関係する。立ち止まっている状態と歩いている状態では、認知できる地形が異なる。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
フィールドの壁。ストリートビューを眺めているとよくわかるが、いくら見ても地形の全体がわからない。逆に、地形図を見ても地形の風景が感じられない。この傾向は建物が邪魔になる都市部では特に顕著。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
地形とは何かというといには、実空間のシーンと地図と両方の視点からのアプローチが必要。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
今回も200枚を超えるらしいです… #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
実空間のシーンを広域地形の「兆候」として理解する。この二重性を理解するには、建築雑誌の作品紹介のフォーマットを参照できる。写真紹介と図面が並列して紹介される。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
学生のスケッチがうまい…早稲田だな! #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
スケッチの中に絵と図面が並列されるようになってきた。 #genroncafe
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階段は地形の施設化。地形図のスケールでみると等高線で、身体のスケールで見ると切り分けられた身体である。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
(この話は「なめ敵」の最初の章で出てきた建築の話と同じ気がするぞ…) #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
地図を書く身になってみる。ポピュラーな地形の表現:等高線。地図を書く手順を考えてみる。測量して得られるデータは点であり、そこに高さを与えて同じラインを見つけていく。平面的にはアナログで断面図としてはデジタルである。測量データの点の集合だけではわからない。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
等高線地図は受け渡しが用意。職人がいなくてもデータの受け渡しが可能な形式。等高線は優秀である。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
地形はどのように表現されるか。まずは地図帳による緑から茶色のグラデーション。グーグルマップの航空写真にも地形が現れる。アジア航測株式会社による「赤色立体地図」。斜面が急なところを赤く表示してある。土砂崩れなどを記述するのに利用。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
国土地理院制作がレーザー測量による5mメッシュデータを公開している(DEMデジタルエレベーションモデル)。等高線とは異なる表現ができる。データは10センチ差まで読み込める。 #genroncafe
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石川さんが盛り上がってまいりました! #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
DEMは10センチを読み取れるため、段差や縁石も分かる。これが無料で公開されて感動である。業界で話題になった。 #genroncafe
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テキストデータで開くと、ひたすら数字が列挙されている。これを地図に適応していくことで、非常に細かく地形を観察できるようになった。#genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
(すり鉢学会副会長の石川さんが地図を利用して地形を解説するターンになりました。) #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
渋谷駅の地図。これまで感じていた渋谷駅を出た時に感じるすり鉢感がご覧いただければわかると思います。これを見たあとに街を見れば、スクランブル交差点を見下ろせば人の流れが水のように見える。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
表示のカラーパレットの設定を変えることにより、細かく街の地形を観察できる。都市のアクティビティの歴史が地形に痕跡として残っている。もともと川が流れていた地域など。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
画面は多摩川河口のデルタ。三角州とその先に作られた埋立地がはっきりと見える。詳細に見ていくと、多摩川が氾濫した後が浮かび上がる。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
5mメッシュのデータで遊び始めると夜が明けるw #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
荒川の自然堤防地形と川島町。集落は堤防にそっており、田はグリッドに従い分割される。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
錯乱の武蔵小杉。1000年田んぼが続きグリッドで分割されていたのが、都市計画でも採用されている。地形に刻印されているグリッドとして奈良・平城京(784年)の跡地。現在、水田となってグリッドが残っている。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
全体が軽く傾斜しており、田んぼとして非常に性能が良かった。都市の記憶が農地として残っている。 #genroncafe
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行ってみた。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
行ってみて面白かったのは、田んぼに張り巡らされた水のネットワーク。水の流れを木の板で塞ぐというプリミティブな制御なのだが、全体として回路のように機能している。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
平城京は100年も続いていない。平城京の姿を残してきたのは田んぼである。それを造成してしまうのはもったいない。田んぼリスペクト! #genroncafe
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(越谷レイクタウンの説明を経て不忍池の説明へ) #genroncafe
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その次に皇居周り。日比谷が入江だった面影がある。御茶ノ水に流れる川は、昔の人が手で掘ったものであることが分かる。泣ける。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
千鳥ヶ淵の水面が他のお堀の水面より高いのは、自然地形を利用したお堀だから。 #genroncafe
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次は東京湾。新しく埋め立てるほど高く盛る。江戸川区の最高地点は葛西臨海公園である。東京湾にある最終処分場は標高が30mもある。本郷より高い。 #genroncafe
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会社をやめて行ってみた。 #genroncafe
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(埋立地にはセイタカアワダチソウが咲き乱れているだと…!) #genroncafe
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モエレ沼公園。模型のようにそのまま地形として現れている。宮城県大崎市荒川用水路。伊達藩の時に建設。地形図を見ていた時に発見。#genroncafe
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(地形図を見せながら)「皆さん、気になりますよね!」 #genroncafe
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見に行ってみた。 #genroncafe
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昔の用水路なので、水を運ぶために等高線に沿っている。見に行ってみると、等高線が風景に現れているのがよくわかる。不思議なフィット感がある。 #genroncafe
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続いてゲンロンカフェの分析。今、我々がいる高さを24メートルとして、その部分を地形で切り取るとどのあたりになるのか。池尻のあたり。北の方だと熊谷の駅辺り。エレベーターでゲンロンカフェに上がると、熊谷の高さ。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
各アフィリエイトカフェの地形図解説を試みる石川さん。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
大阪では、古墳、溜池のザラザラ地帯が南の方にある。古墳は地形として見える。そして古墳は活断層にならんでいる。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
京都。市街地は盆地の北の方の斜面にある。巨椋池干拓地が一番低い場所として発見できる。主な交通インフラを重ねると、時代を減るごとに地形に大胆になる。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
次は名古屋。名古屋城は台地の角にある。ナナちゃんの頭部は標高8.1m。濃尾平野全体を見渡せる名古屋。JRほづみ駅までいける。 #genroncafe
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次は新潟。海側の方が古く、砂丘地形が発達しているため高い。新潟駅がある場所のほうが低い。すり鉢学会も新潟に行っている。砂丘にすり鉢を発見している。 #genroncafe
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国土地理院のHPにメッシュの高さの取り方の手順が掲載されている。測量段階では、車や建物まで全て高さを拾ってしまうため、一つ一つのデータを検証して、手作業で最適化している。考古学に似ている。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
検証するため、「地面」と「人工物」の間に境界を設けなければいけない。人工地盤と造成の違いはどこか。六本木ヒルズを見てみるとタワーがある人口地盤は地形であり、テレビ朝日は建物である。 #genroncafe
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国土地理院的に海ほたるは地形である。木更津に向かう高架は地形ではない。しかし橋脚は地形であった。作り手の頑なさがあることで、地図の信頼図が上がる。 #genroncafe
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ディズニーランド。プロメテウス火山は地形であり、ビッグサンダー・マウンテンは施設である。そこに境界がある。 #genroncafe
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2003年までは地形として扱われていた。ビッグサンダー・マウンテンも地形としてよくできているが、グーグルに改装中の仮囲い姿を撮られてしまった。これが地形扱いを除外された原因とみている。 #genroncafe http://t.co/oZxJNKWVso
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
高層建築の杭は非常に深い固い層まで伸びている。一万年前の地層に建っていると見ることができる。関東ローム層は1m1万年かけて形成された。つまり、階段1段1000年。 #genroncafe
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東京の地図を見ると低い地形が枝上に広がっている。枝の先をよく見ると、世田谷区などモザイク状になっている部分がある。住宅地のひな壇造成が現れている。住宅地は小さいがゆえに、地形が保存される。 #genroncafe
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造成の擁壁には水抜き穴がある。造成しながらも、全体の水の流れは守らないといけない。筧システムを見るとよく分かる。 #genroncafe
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現代の水の流れは、急に出現して消滅する。上水と下水のコンビネーション。 #genroncafe
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上水道と下水道は都市の全体に展開しているが、その作られ方の論理が違う。上水は圧送されているため道路に似ている。下水道は重力によっているので枝上に展開する。パターンが違う。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
昔の東京の用水路は尾根を通していた。今の下水道のパターンと重ねてみると、利用している原理(重力)が同じなので、かなりピッタリと重なる。尾根と谷の接する所で筧のようなシステムが見られる。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
上水の原理の変更から、水のインフラの近代化の過程が読み取れる。東京は一日630万トン水源があり、420万トン排出している。人口を賄うため、上水をひっぱってくる流域が拡大されたと見ることができる。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
建物のスケールで捉えると、建物は「乾いた平坦な床の確保」を行なっているといえる。降雨や池など大きな自然原理のようなものを、シャワーや風呂桶のような小さいスケールで再現している。上水のポンプは、蒸発と同じ原理だといえる。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
手洗いやトイレでは、劇的な水のモードの変化が起きている。理性のインフラと野生のインフラの間に、私たちのトイレがある。 #genroncafe
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上下水道のパターンがかっこよかったため、Tシャツを作ってくれた方がいる。「マニアパレル」「上下水道T」で検索!私も今、着ています! #genroncafe http://t.co/aXu5EOeCyn
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
一冊おすすめの本はと言われれば、「東京の自然死」貝塚爽平氏。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
次回の紹介。本業である庭をめぐって考えていること。English Gardens、7人の小人問題などを語ります。本日は以上です。ありがとうございました。 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8
Q「こういう面白い発見をする作業はいつしているんですか?」A「時間を見つけてはやっている。大切なのはやめないこと。少しずつでも作業を続けること。そして保存しておくこと。」 #genroncafe
— siskw (@siskw) 2013, 6月 8