ふたつの復興から学ぶ

東日本大震災は、原発事故にしても津波の被害を受けた地域の復興にしても、まだ目処が立っていない状況です。傷ついた状態から生活を取り戻す、そして前よりい状態にすることは非常に難しいですし、何よりも時間がかかります。そしてそれは日本だけの問題ではなく、他の国の災害でも同様です。復興の先例としてふたつの記事を紹介します。

ハリケーン・カトリーナ(2005)

ひとつめは、2005年にニューオリンズを襲ったハリケーン・カトリーナからの復興を目指すLower Ninth Ward地区の現状についての記事です。俳優や有名建築家による仮設住宅の支援と、その後のコミュニティの喪失の問題について書いてあるようです。

The Debate Over Making It Right in the Lower Ninth Ward
(via archdaily
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The Float House / Morphosis, Make It RIght © Iwan Baan

ブラッド・ピットが創設した復興支援団体「MAKE IT RIGHT
・インフォグラフィックスで表現したMAKE IT RIGHTの建設目標:Infographic: The Make It Right Foundation
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(インフォグラフィックスから一部を抜粋)

・NEW REPUBLIC紙によるブラッド・ピットへの批判記事
If You Rebuild It, They Might Not Come. Brad Pitt's beautiful houses are a drag on New Orleans
ちょっとしか見ていないですが、「…These new homes were not just slap-dash replacements.」とか書いてありますね。


カンタベリー地震(2011)

もうひとつは、2011年2月にニュージーランド・クライストチャーチで起きたカンタベリー地震関連です。被害を受けたクライストチャーチは“イングランド以外で最もイングランドらしい街”と称されているそうです。地震により被害を受けたその街の大聖堂を建て直そうと行われたコンペは、審査に呼ばれたイングランドの建築家たちを巻き込んで大きな議論となっているようです。争点は、大聖堂を新しくデザインするか、以前のままの姿で復元するのか。

Critics reject "clumsy" proposals for earthquake-hit Christchurch cathedral
(via dezeen
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左: traditional redesign proposal、中: new building proposal 、右:Above: original restoration proposal

ちなみにクライストチャーチでは、建築家・坂茂氏による仮設大聖堂の建設が進んでいます。
shigeru ban: christchurch NZ cardboard cathedral under construction
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a scale model of the new cardboard christchurch cathedral, image courtesy AFP photo / marty melville