「藤村龍至氏のいう『方法論』とは何を指すのか。」

「藤村龍至氏のいう『方法論』とは何を指すのか。」
メモを取り/質問を考え/最後まで残りたまえ
 東工大卒業設計展に対して、コメンテーターの藤村龍至氏が思ったことを書いています。
ここ数日をまとめられた文章の終わりの方で、卒業設計展について書かれているのですが、と以下の部分がとても気になりました。

途中まではおとなしくしていたが、人数の多いシンポジウムでは発言する機会が少ないので、持論を展開するに限るので切り替える。「1990年代以降の重要な社会的変化は情報化と郊外化であって、卒業設計はだいたいどちらかに分類される。ただそれらを繋いだ卒業設計が見られない。そうした社会の変化を繋ぐ行為こそが批評的だろう。だからこそ、今設計の方法論について議論するべき」だと主張。
するといろいろ反論が出て(もちろん狙い通りだが)、「建築にとって重要なのは着地点であって、方法論はどうでもいい」と坂本先生が暗に藤村批判。そこですかさず「構成の形式を研究して来た坂本先生が『方法論は関係ない』というのは逆説であって、むしろ『方法論こそが重要だ』というメッセージだ、それを勘違いしてはいけない」と観客に向けて釘を刺すと坂本さんが我が意を得たりと「その通り。本当は方法論こそが重要だと思っている。間違って伝わったらいけない」と同意してくれて、無事シンポジウム終了。

http://www.round-about.org/2009/07/post_107.html

 方法という言葉が指すものがなんなのか理解しないと、「超線形スタディ」がなにを問題としているのか、しいては藤村龍至氏の作っている建築が何かは理解できないと思う。

ほう‐ほう〔ハウハフ〕【方法】
1 目標に達するための手段。目的を遂げるためのやり方。てだて。
2 哲学で、真理に到達するための考えの進め方。

 辞書からも分かるように、方法とは目的があってこそ成立する。じゃあ、ここで藤村氏の目的はなにか。おそらく「建築と社会との間に関係を作ること」なのである。決して「空間を豊かにすること」や「新しい空間を提案すること」ではないのだろう。
1995年以後~次世代建築家の語る建築建築の四層構造――サステイナブル・デザインをめぐる思考 (10+1series)恋する建築LOVE ARCHITECTURE