「Highpint I II(ハイポイント I II)」@London
「私は、このたびハイゲートに完成した大規模な集合住宅を訪ねたこの美しい建物は伝統に従うべきか、もしくはこれを絶つべきかという本質的な問いを示している。私は、地震の見解によって躊躇することなく答えたい。新しい伝統が創造されなければならないのだと。」
(Architectural Review,1936「垂直田園都市」という批評より抜粋)
これは、この建物を訪れたコルビジェのハイポイントIに対する賞賛を伴うコメントであるらしい。
もともとイギリスは島国であるために、ゴシック様式の伝播の仕方などからも理解されるように、ヨーロッパ本土で起きた何かしらの運動が遅れて伝わる傾向がある。この作品はコルビジェの文章からも分かるようにモダニズムの意識を持った建築と評価できるが、それはTectonを率いていたLubetkinによって建てられた。彼はソ連で生まれパリのオーギュスト=ペレの下で働いており、その後1930年にイギリスに渡りこの建物を設計し、結果的にではあるがイギリスにモダニズムの思想を伝える役割をになったのである。
ハイポイントはIとIIと、3年違いの二つの建物が存在している。前者はモダニズムの意識がきわめて強い作品であるが、後者はエントランスの庇を支える柱が彫刻になっているなど表現的な要素が見える。