「red house(赤い家)」

「red house(赤い家)」@London
産業革命による機械化の流れにあった19世紀半ばにおいて、その新しい波によって現れてくる近代化への矛盾を意識した人びとが起こした運動が、「アーツアンドクラフト運動」だといえる。その中心人物であったWilliam=Morrisが友人達と建てた住宅、それが「red house」である。(建物の設計はフィリップ=ウェブ)
モリスのデザインは、一見すると植物や動物など自然がモチーフであり運動とあいまって中世のリバイバルのような印象である。しかしニコラス=ペウズナーを参考にすると、「ファサードの考えを二の次とし内部構造を率直に示しているという点で大胆なデザイン」であり、「家具デザインの分野においては他国のいかなるものより進んだもの」であったらしい。つまり過去を懐かしむ懐古主義を超えて新しい生活を生み出そうとし、加えてデザインが社会体制を変えて未来をつくっていけるという姿勢が彼の壁紙の作品から読むことができるのだ。
参考文献
ロンドンの近現代建築―古い都市が生み出した新しい空間 (建築巡礼)William Morris Giftwrap Paper (Dover Giftwrap)ユートピアだより (中公クラシックス)

photo by Encycropedia Britanica