豊洲市場問題プロジェクトチームは早急に解散すべき

11月29日に行われた第3回市場問題プロジェクトチーム(PT)会議の中継を視聴したのですが、豊洲への移転が延期される理由が特に見当たらないという非常に残念な会議でした。

中継映像はこちら↓
第3回市場問題プロジェクトチームテキスト・録画映像 | 東京都

個人的な感想としては、次の2点です。

  • 小島座長、竹内委員は事前にもっと勉強してから会議に臨むべき。
  • 森高委員(構造の専門家)が「構造の安全性が担保されている」と発表した後に森山委員が「PTとしてそれを言われるのは困る」と、PTとして意見の不一致があった。事前にPT内での意見を一致させた状態で会議を行うべき。

次回はコールドチェーンとHACCPについて会議を行うらしいですが…

自分たちで検証できず、日建設計にコスト計算の依頼をするそうです。
この調子ならば早急にPTを解散し、さっさと豊洲市場に移転すべきだと思います。

準備が不十分なPTこそ、都税の無駄の最たるものでしょう。

以下、小島座長、竹内委員の不見識について解説。

小島座長の不見識について

小島座長は「築地市場が23haに対して豊洲市場が40haと広くなっているが、売り場面積は増えていない。なぜこんなに広い土地が必要だったのか」という疑問を投げかけています。
はっきり言って、なぜいまさらこんな話を聞くのか理解に苦しみます。

売り場面積が増えていない理由

・その1:1店舗当たりの面積が増えていない理由
端的に言えば、家賃(正しくは使用料)が単位面積あたりで定められているため、です。つまり、1店舗当たりの売り場面積が増えれば家賃が高くなります。
必ずしも売り場面積が広くなることが事業者に望まれているわけではありません。

  • 卸売業者(卸売業者売場使用料):545円/㎡・月
  • 仲卸業者(仲卸業者売場使用料):2150円/㎡・月

他にも倉庫や事務所など細かく定められています。詳細はこちら↓
東京都中央卸売市場|資料4 東京都中央卸売市場使用料の改定について(PDF)

・その2:全体の売り場面積が増えていない理由
では、全体の売り場面積を増やして事業者数を増やせばよかったのでは?という疑問が出てきます。
しかし、ここにも別の問題があります。市場の売り場は「鑑札」と呼ばれる権利であり、これ自体が価値を持っているのです。
築地から豊洲に移転するにあたり事業者数を増やすとなれば「鑑札」の価値が下がってしまいます。そのため、全体の売り場面積を増やして事業者を増やす、ということにも事業者はネガティブなのです。

全体の面積が増えた理由

・移動手段ごとに通路を分ける
一方で、現在の築地市場では「通路」が問題になっています。市場内で通行できる通路が限られているため、大型トラックとターレーと通行人が全部同じ箇所を移動しています。

ラーメンを食べ歩く個人のブログより転載します。↓

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トラックとターレーが並走するだけでなく、個人が築地市場の中を散歩できるという状況も衛生面からは非常に問題があります。

これの何が問題なのか。「交通事故」です。

第3回PT会議の直前に行われた事業者へのヒアリングから伊藤氏(水産仲卸・東卸組合理事長)の発言
市場問題プロジェクトチームによる築地市場内の事業者へのヒアリングテキスト・録画映像 | 東京都

交通安全の面から、豊洲市場ではトラックは屋外、ターレーは屋内、と通行を分ける設計が行われています。そのため築地よりも移動部分に非常に大きな面積が割かれています。

具体的に見ていきましょう。豊洲市場の敷地は3つに分かれていますが、それぞれの敷地面積と建築面積(建物の建っている部分の面積)は次のような内訳です。

  • 敷地面積:約38.9ha(5街区:約12.1ha、6街区:約13.2ha、7街区:約13.6ha)
  • 建築面積:約18.5ha(5街区:約5.9ha、6街区:約7.1ha、7街区:約5.5ha)

つまり敷地の半分以上は建物ではなくトラックの通路・駐車場や緑地といった外部空間に利用されていることが分かります。

竹内委員の不見識について

「待機駐車場があるからコールドチェーンが破綻している」

待機駐車場は荷降ろしをする場所ではないので、コールドチェーンは破綻していません。

「築地市場で十分問題なく機能している」

ヒアリングでも意見が出たように、築地市場は老朽化しており、交通安全上も問題が多発しています。
加えて食品衛生の基準と照らし合わせても、開放型の市場は不衛生であることはずっと指摘されています。

「(築地で十分なのに移転にお金を掛けるのは)都税の無駄」

「市場会計」と呼ばれるように、東京都の11の市場を合わせて基本的には独立採算で運営されています。
豊洲移転は、築地市場の土地の売却益なども含めて市場会計の中で完結する予定でした。

Q.豊洲新市場移転に必要な経費と財源はどのようになるのでしょうか。
A.豊洲新市場の移転整備には、合計で約3,926億円の経費がかかると見込まれています。…
これらの経費は、市場業者が東京都に納めている使用料を主な収入とする独立採算の中央卸売市場会計で賄われ、不足分も築地市場跡地の売却収入で補てんされます。一般会計からの補てんや補助は受けませんので、皆さんが納めている税金が使われることはありません。

費用とスケジュールは?|東京都中央卸売市場

小島座長や竹内委員の発言は、事前にHPで資料を読むなどして勉強すれば理解できるものです。
そのような行為を怠り会議で意味のない発言を繰り返す両者は、市場問題を扱うにあたり十分な見識を持ち合わせている人物ではないと、ひとりの都民として思います。
むしろ今回の移転延期を受けて都税から補填を行わなければいけなくなる、わけであり、一刻も早い移転が望まれている中で、こんな不勉強な人物を専門委員として扱う必要があるのか、甚だ疑問です。「都税の無駄」と発言する竹内氏の方が、よっぽど都税を浪費しています。こんな勉強しない専門委員に都税からいくら支払われているんでしょうか。